日程表
プレコングレス 8月4日 (金) 17:30 〜 20:00
シンポジウム① 8月5日 (土) 10:30 〜 12:00
Invited lecture in collaboration with International Congress on Infant Studies
演者
Tamar Kushnir (Duke University)
Making social meaning from human actions
Human actions contain an enormous amount of social meaning for children. For one thing, actions reveal characteristics of individuals – their personal goals, preferences, and beliefs. But people also act as members of social groups, such as when they follow the norms or conventions of a cultural community. Young learners are therefore faced with a challenge: any given action can be an opportunity to learn about the specific motives of a single person, an opportunity to learn a useful piece of generalizable social knowledge, or some combination of both. In this talk, I’ll present several lines of work showing that children solve this social learning challenge guided by principles of rational causal learning. I’ll start by showing how infants and children infer from certain statistical patterns that actions are motivated by personal goals. I’ll then show how children in two cultures combine statistical learning capabilities with their knowledge and culture-based inductive biases to infer whether a person’s behavior is idiosyncratic or normative. Finally, I’ll provide a few examples that show that the same mechanisms of rational learning can be applied to other social problems, such as learning normative scope, learning someone’s friendship preferences, and inferring social status.
座長
馬塚 れい子(理化学研究所)
シンポジウム② 8月5日 (土) 15:00 〜 16:30
「内」と「外」をつなぐ赤ちゃんのダイナミックな発達メカニズム
近年の発達科学の研究から、赤ちゃんの発達メカニズムは様々な異なる要素がそれぞれダイナミックに変化することで実現していることが明らかになりつつある。それぞれ個別の要素については、これまで蓄積された知見によってその輪郭が浮き彫りにされてきつつある一方、異なるメカニズムがどのように統合され、驚異的な赤ちゃんの成長という神秘を実現しているのかについてはまだ殆ど明らかにされていないのが現状である。特に、赤ちゃんの自らの身体や運動をベースとした「内」を志向した学習と、他者や外界から様々なことを吸収していく「外」を志向した学習は、かなり質的に異なるメカニズムがその背後にあると考えられており、「内」と「外」の学習を統一的に説明した赤ちゃんの発達メカニズムの理論はまだ存在しない。そこで本シンポジウムでは、まず「内」と「外」の赤ちゃんの学習について実験的に研究している気鋭の発達科学者二人(平井・磯村)にそれぞれの研究についての最新の知見について報告していただく。その上で、ロボットの学習・発達メカニズムを認知科学的知見をベースに研究している学際的な知能ロボット研究者(日永田)に、「内」と「外」の発達メカニズムの統合について計算論的立場から論じていただくことで、「内」と「外」をつなぐ赤ちゃんのダイナミックな発達メカニズムについて新たな光を当てるシンポジウムにできたらと考えている。
座長
高橋 英之(ATR/大阪大学)
鹿子木 康弘(大阪大学)
演者
平井 真洋(名古屋大学)
他者の動きに埋め込まれた顕示的情報処理の発達
磯村 朋子(名古屋大学)
内受容感覚の発達過程を探る
日永田智絵(奈良先端科学技術大学院大学)
「内」と「外」の情報を使った感情モデル
シンポジウム③ 8月6日 (日) 10:00 〜 11:30
教育改革に向けて:AIエージェントで数理的社会情動能力をブーストする
数理的社会情動能力とは、自他の多様な価値を認識し、数理的にプラスサム関係を構築する能力である。我々は算数と道徳をハイブリッドさせ,AIエージェントとのインタラクションによって、子どもの数理的社会情動能力の個別最適な獲得支援(ブースト)を目指している。本シンポジウムでは数理的社会情動能力のブーストについて、松浦が小学校における現状と問題提起、吉川が小型人間型ロボットを用いた実例、熊崎がアンドロイドを用いた実例を紹介し、最後にChatGPT時代に、どのように数理的社会情動能力をブーストするためのAIエージェントを設計すればよいかについて総合討論を行う。
座長
寺田 和憲(岐阜大学)
鹿子木 康弘(大阪大学)
演者
松浦 直己(三重大学)
小学校における数理的社会情動能力ブーストの現状
吉川 雄一郎(大阪大学)
小型ロボットを用いた数理的社会情動能力のブーストの実現にむけて
熊崎 博一(長崎大学)
アンドロイドを使って発達障害者の数理的社会情動能力をブーストしたエビデンスの紹介
ラウンドテーブル① 8月5日 (土) 10:30 〜 12:00
乳児行動発達研究グループ
赤ちゃんの世界に挑む ~赤ちゃんはさまざまな状態から何を得ているのか?~
赤ちゃんは、眠って、動いて、泣いて、抱かれて、様々な「状態」から発達に必要な刺激や情報、エネルギーを得ていると考えられる。特に新生児期から乳児期初期において、これらの「状態」から具体的に何を得ているのか。本ラウンドテーブルでは、4名の話題提供者にそれぞれの研究成果に基づいた知見を示していただき、赤ちゃんの発達に必要なものについて討議したい。それぞれの状態が発達において不可欠なものであることを共有し、それらが紡ぎ出す赤ちゃんの「行動」の発達についての理解を深めたい。
座長
中野 尚子(東京大学)
儀間 裕貴(東京都立大学)
演者
佐治 量哉(玉川大学)
赤ちゃんが「眠り」から得ているもの
金沢 星慶(東京大学)
赤ちゃんが「運動」から得ているもの
新屋 裕太(東京大学)
赤ちゃんが「泣き」から得ているもの
吉田 さちね(東邦大学)
赤ちゃんが「抱っこ」から得ているもの
ラウンドテーブル② 8月5日 (土) 15:00 〜 16:30
音楽部会
エコロジカルな視点からの音楽表現カリキュラム:赤ちゃん学からの提案
赤ちゃんは生後間もなくから物理的環境を探索する中で、生態学的(エコロジカルな)自己を確立する。環境に能動的に関わることの重要性は言うまでもない。赤ちゃんの周りには音の出るモノが沢山あり、モノで音を仲立ちに大人と遊ぶ社会的・文化的相互交渉を通して赤ちゃんは音を介した文化的実践に参加していく。音の出るモノを探索して生態学的(エコロジカルな)自己を確立し、それを足掛かりに文化的実践者となっていくのだ。乳児期のこうした自然な学習の延長上に3歳以上のカリキュラムを構想することは出来ないか。保育における幼児と楽器の出会いは、主体的・能動的探索からかけ離れた教え込みになりがちである。楽器を探索する乳幼児の姿を紹介し、「音の出るモノの探索から文化的なツールとしての楽器の扱いへ」、「探索する主体から文化的実践者として音を扱う主体へ」というカリキュラムの構想を試みる。
座長
今川 恭子(聖心女子大学)
演者
丸山 慎(駒沢女子大学)
赤ちゃんと楽器の関り:アフォーダンスの視点から
村上 康子(共立女子大学)
乳幼児が楽器を自由探索する姿の実際から①
伊原 小百合(共栄大学)
乳幼児が楽器を自由探索する姿の実際から②
町山 太郎(まどか幼稚園)
乳幼児が楽器を自由探索する姿の実際から③
石黒 広昭(立教大学)
ラウンドテーブル③ 8月6日 (日) 10:00 〜 11:30
ライブデータベース部会
BOLD2023 非対面調査、こんなことができます
非対面型調査は、ここ数年で大きく増え、研究者にとっても今や十分検討に値する手法となりました。本研究部会は、研究者同士が参加者のデータを共有することによりポストホック型の縦断研究を可能とする仕組みBOLD(Baby’s Online Live Databaseシステム)を構築しています。このようなシステムを構築することにより、全国各地の参加者・研究者が非対面で調査を行うことが容易になると考えています。その一方で、非対面型調査には、調査環境への懸念や様々なコストの面で二の足を踏む研究者も少なくないとも感じています。
本ラウンドテーブルでは最前線で非対面調査を実践し、成果を上げられている先生方にご登壇いただきます。現時点の非対面型調査で何が・どこまで調査可能か、今後の継続的な調査にはどのような課題があるのかについて議論を深めたいと考えています。
※部会の趣旨およびBOLDを活用した調査にご興味がおありの方はお声掛けください。
座長
村上 太郎(常葉大学)
演者
十河 宏行(愛媛大学)
psychopy/pavloviaを使ったオンライン実験
白井 述(立教大学)
タブレット端末郵送法による在宅での視覚発達実験
萩原 広道(大阪大学)
注視法を用いた乳児のオンライン実験:日本語版Lookitの開発状況から注視データの自動推定まで
加藤 正晴(同志社大学)
ラウンドテーブル④ 8月6日 (日) 13:15 〜 14:45
若手部会
赤ちゃんの本当の性質をどのように捉えるか?
赤ちゃん研究は、乳幼児が見せる特異的な行動や心理的・認知的特徴やその発達的変化の追究およびその背景メカニズムの理解を目指している。実験室環境から多くの知見が報告される一方で、実験から得られる結果が家庭や自然な生活環境における乳幼児の行動・心理的特性と異なるという問題が知られている。さらに、乳幼児を取り巻く環境や状況自体の再現が本質的には難しいこともあり、実験結果やそこから得られた知見の解釈が難しい場合も多い。また、近年、指摘されている心理学研究における再現性の問題も存在するため、乳幼児を対象とする自然環境下での観察研究には様々な工夫や理論的考察が必要となる。本ラウンドテーブルでは、赤ちゃんの本当の姿の理解を目指す様々な研究や潜在する問題に関する話題を提供頂いた上で、どのような注意が必要か?どのような理解が可能か?などについて議論したい。
座長
石島 このみ(白梅学園大学)
今福 理博(武蔵野大学)
演者
島 義弘(鹿児島大学)
幼児の実験室実験と自然観察の比較について
山本 寛樹(インディアナ大学・大阪大学)
親子間相互作用がつくる,赤ちゃんの発達環境
残華 雅子(びわこ学院大学)
実験室における幼児の印象管理戦略
小島 康生(中京大学)
屋外での自然観察研究から得られること
根ケ山 光一(早稲田大学)
ワークショップ 8月6日 (日) 13:15 〜 14:45
保育実践科学部会・保育環境部会共催
研究知と実践知をつなげるリテラシー向上のためのワークショップ
「赤ちゃん学(Baby Science)」は、総合的・学際的な学問です。赤ちゃん学会の会則には「乳児を中心とした子どもに関する学理およびその応用の研究についての発表、知識の交換、会員相互の交流を行う」と明記され、基礎研究者だけでなく、臨床や医療、保育といった赤ちゃんに関わる全ての人が集う交流の場としての学会の機能が想定されています。しかし、実際に基礎研究領域と保育や子育てといったより実践に近い領域の間で交流や協働を試みると、互いを理解することの難しさを感じることも多々あるのではないでしょうか?私たちは、その一因が「赤ちゃん」という対象を捉える視点の、領域間での「ちがい」や「ずれ」にあると考えます。
このワークショップでは、異なる視点を持つ参加者が同じ題材に対してグループワークを行います。その中で、題材からなにをどのように読みとっていくかの相違や多様性を体感し、それぞれの見方を交換し、互いのリテラシーを向上させることを目的としています。基礎研究が提供する知見と実際の実践の間になんとなくギャップを感じている方、研究を保育や子育てに生かしたいと願う方、赤ちゃん学の研究についてもっと知りたい、取り組んでみたい方、ぜひご参加ください。若手からベテランまで、基礎研究から実践の最前線まで、さまざまなバックグラウンドを持つメンバーの参加を歓迎します。
また、ワークショップの最後には保育環境部会から「保育環境や赤ちゃん学についての交流サイト」等についても紹介します。
<申し込み方法>(学術集会参加者のみ)
人数把握とグループ分けのため、以下のURLから、開催前日(8月5日)までにお申込みいただくようお願いいたします。なお、定員に達した場合は、その時点で受付を終了いたします。あらかじめご了承ください。
座長
麦谷 綾子(日本女子大学)
楢崎 雅(社会福祉法人摩耶福祉会幼保連携型認定こども園るんびにこどもえん)
演者
嶋田 容子(同志社大学)
保育環境や赤ちゃん学についての交流サイトの紹介